Εὕρηκα!

西洋古典学って、ご存知ですか?

『未来日記』とローマの神々

ここの読者層がいまいち捉えきれていないままなのですが…

漫画『未来日記』をご存知でしょうか?

ストーリーの複雑な漫画なので説明しだすとたいそう長くなるのですが、

ご存知ない方のためにごく簡単に説明すると、

予知能力を持つ「日記」を所有する12人が1人になるまで殺しあう

・優勝者は「神」になる

というストーリーです。タイムリープなどのSF要素や、「日記」を使ったトリックなどのミステリー要素もあります。

 

 

このブログで取り上げる理由はただひとつ。

主要登場人物の名前がギリシア・ローマの神々の名前を由来としているから。

漫画自体のステマじゃないです()

 

多くの場所で名前に関する考察・解説が既に為されてはいるのですが、

どれもなんだか少し物足りない気がするので、古典畑の私も参加させていただきます\ドン/

ネタバレ含むかもしれないので、これから漫画を読む予定の方はちょっと注意してください~。

 

↓今回は日記所有者の名前だけ。↓

 

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背中にチーズ

Twitterに書くには長いけど、ブログ記事にするには短いししょうもないかしら…、程度の話。あまり期待せずにどうぞ(笑)

 

***

 

きのう、学生用研究室に入るなり後輩が「先輩聞いてくださいよ~」と言ってきました。

何事かと思ったら、希和辞書でとんでもない単語を見つけた、と。

 

その単語というのが、形容詞τυρόνωτος

そこに書いていた意味

背中にチーズをつけた、チーズを塗った

 

ちょい待ち。

どういう状況や。嫌がらせか。

 

どうしてもこの単語が使われるような事態がいかなるものか気になって、でっかい希英辞書も出してきました。

すると、アリストパネスの喜劇『アカルナイの人々』にこの単語が登場しているとのことで、その使われ方を見ると…

 

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アウグストゥスと肝臓病

 

eureka-merl.hatenablog.com

 

1年ほど前に投稿したこちらの記事に質問をいただきました!

せっかくなので改めてもとのテキストを読んでいこうと思います。

 

アウグストゥスの肝臓病がレタスで治った」と書きましたが、これについては大プリニウスの『博物誌』第19巻の第128節に記述があります。

 

divus certe Augustus lactuca conservatus in aegritudine fertur prudentia Musae medici,

たしかに神のごときアウグストゥスは病気の時、医師ムサの賢明さにより、レタスで救われたと言われる。

cum prioris C. Aemili religio nimia eam abnegaret,

前の医師であるガイウス・アエミリウスの過度の不安はレタスを拒んでいたのだが。

 

 

また、アウグストゥスの肝臓病の治療については第29巻6節にも書かれています。

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