Εὕρηκα!

西洋古典学って、ご存知ですか?

ディズニー映画『ヘラクレス』コメンタリ ~Boy with mighty strength~

本当に長らくお待たせしました。

前回の記事はこちら。 

eureka-merl.hatenablog.com

 

前回までは赤ん坊ヘラクレスでしたが、一瞬で大きくなります(笑)

赤ん坊でありながら蛇をやすやすと退治してしまった ヘラクレス。その怪力も体の成長と共に順調に育った結果…

 

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プラド美術館展@国立西洋美術館

国立西洋美術館での展示期間は終了して、今は兵庫県立美術館で開催されているプラド美術館展―ベラスケスと絵画の栄光―」

開館時間やチケットの料金など、詳しいことはこちらから美術館の特設ページをご覧ください。

絵画は7章構成になっており、第3章が「神話」と題されています。今回はこの第3章の絵をメインに解説していきますが、古典の民に関係ある絵画は他の章にも散っているので、そちらもあわせて紹介します。

プラド美術館の公式ホームページ(英語版)のコレクション掲載ページへのリンクをそれぞれに付けますので、図版はそちらでご覧になってください。もっとちゃんとした解説も載ってます!!

 

※展覧会には事前情報なしで行きたい!ネタバレやめて!という方はこの先読まないでください(>_<)

 

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『聖なる鹿殺し』とギリシア悲劇

先日、映画『聖なる鹿殺し』を観てきました。

原題はThe Killing of Sacred Dearで、日本語題はそのまま訳したものになっています。

このサイコホラー映画の監督はギリシア生まれのヨルゴス・ランティモス氏です。日本で公開された彼の作品にはほかに『籠の中の乙女』『ロブスター』があります。

『聖なる鹿殺し』のストーリーやキャスト・スタッフ情報は公式ホームページをご覧ください。

 

さて、この映画を語る上でところどころ話題に上がっているのが、悲劇作家エウリピデスによる『アウリスのイピゲネイア』です。

監督自身はインタビューでこう述べています。

必ずしもそこからインスピレーションを得たわけじゃない。でも脚本を書いている時にギリシャ悲劇と似ている部分があることには気がついた。面白いアイディアだと思ったよ。でも、ギリシャ悲劇を映画化しようとして始めたわけじゃないんだ。(『聖なる鹿殺し』日本版公式パンフレット13頁)

 

とはいえ、やはり劇中には古代ギリシア悲劇を感じさせる箇所がいくつかありましたので、今回記事を書くことにしました。ストーリーの謎より、どのあたりが悲劇に近いかを解いていくことになります。本当に『アウリスのイピゲネイア』に似ているのか?とか。

※この先ネタバレを多分に含みますので、未鑑賞でこれから観る予定のある方は閲覧を控えることをお勧めします。

 

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