Εὕρηκα!

西洋古典学って、ご存知ですか?

ディズニー映画『ヘラクレス』コメンタリ ~Encounter with Phil~

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そういやヘラクレスとペガソスが降り立った島の名前、本編では言及されていませんが、もしかするとエーゲ海北部の島・レムノス島かもしれません。

神話が語るにはピロクテテスもトロイア戦争に参加した英雄ですが、トロイアに着く前に脚に傷を受け、その傷が(おそらく膿んで)悪臭を放ちだしたがためにレムノス島に置き去りにされたのです。犯人はオデュッセウス。この神話に関してはギリシアの悲劇詩人ソポクレスが『ピロクテテス』という悲劇を書いています。この悲劇に出てくるオデュッセウスはマジで外道。

ちなみにピロクテテスが武器として携えていたのはヘラクレスの弓。この映画では(見方によれば)関係が逆転しているわけです。

まぁそういうわけでこの島はレムノス島だという推測はせめてそこだけはピロクテテス要素があってほしいという私の願望の表れでもあります。

 

補足はこのくらいにして本編の続きを見ていきます。

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ディズニー映画『ヘラクレス』コメンタリ ~Search for Philoctetes~

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本来自分がいるべき場所は神々の住まいオリュンポスであったと知ったヘラクレス

人間である彼が再びその地へ戻る(=神になる)方法は、地上で本物のヒーローになることと父ゼウスは教えます。

ヒーローになる方法を探るべく、ヘラクレスはまず「ヒーロー専門のトレーナー」である「ピロクテテス」という人物に会いに行くことにしました。

 

……正直この「ピロクテテス」の造形が古典学者と古典通を最も怒らせるポイントじゃないかと私は思っています(´・ω・`)

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ディズニー映画『ヘラクレス』コメンタリ ~Go the distance → Zeus' temple~

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有り余る力を制御しきれず、周囲から疎まれるヘラクレス

自分の本来の居場所を探そうとします。

ここで主題歌のGo the distanceが歌われます。

 

このへんからディズニーヘラクレスには本家ヘラクレスだけでなくさまざまな英雄たちの逸話が付加されていきます。

 

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