Εὕρηκα!

西洋古典学って、ご存知ですか?

Εὕρηκα!とは?

このブログは、西洋古典学という学問のことを少しでも知ってもらいたい古典学研究者(仮)が、とにかく楽しく!好き勝手に!!いろんなものを題材にして古典学を語るところです。 古典文学そのものの真面目な話だけでなく、展覧会や演劇のレポ、サブカル絡みの…

ラテン語家庭教師はじめました!(教室・参考書も紹介します)

ココナラというサイトで「ラテン語家庭教師」のサービスを出品しています! でもココナラ経由じゃなくてもご依頼いただけます(むしろその方が自由度高くできます)。 coconala.com 詳しくは後述しますが、ラテン語に関するちょっとした質問の受付から原典講…

要塞を徘徊するDオタ古典学者のはなし

皆さんは東京ディズニーシーのアトラクション「フォートレス・エクスプロレーション」をご存じでしょうか。エントランスを抜けてお土産店を通り過ぎた先に広がる地中海の景色、中央にそびえるプロメテウス火山のふもとに構えられた要塞のことを。 この要塞こ…

#文学フリマ京都 に出店します

実は去る9月に開催された文学フリマ大阪にも参加していたのですが、その時はブログで告知していなかったので、今回はちゃんとやります。 とりあえず概要をば。文化研究の枠で申し込んでいますが、前回同様ノンフィクションのブースに紛れ込んでいますのでご…

じょるじん「ゲララ ~奴隷の子とメデューサの娘~」に関するひとりごと

これまでギリシャ・ローマ神話を題材とした現代の創作物として、ディズニー映画「ヘラクレス」だったり、Sound Horizonの音楽作品「Moira」についてこのブログでたびたび紹介&解説(という名目の茶々入れ)をしてきました。 ヘラクレスについては記事カテゴリ…

【演出編】自分の結婚式をどうしても古典色に染めたかった某はぐれ古典学者のはなし

演出の話をする前に古代ローマの結婚式がどのように進行されたかをお話しせねばなりませんね。もちろん時代や各家庭の状況により異なる箇所は大いにあるはずですが、一例は以下のとおりです。 ①花嫁の身支度 結婚式前夜、花嫁はtoga rectaとflammeumをまとい…

【料理編】自分の結婚式をどうしても古典色に染めたかった某はぐれ古典学者のはなし

地中海周辺は今も昔も食材が豊富。古代人たちもさまざまな味覚を楽しんだことは、このブログを訪ねてくださった皆様はすでにご存知でしょう。アテナイオス『食卓の賢人たち』やアピキウスの料理帖といった食に特化した文献も残っています。 今回の結婚式では…

【衣装編】自分の結婚式をどうしても古典色に染めたかった某はぐれ古典学者のはなし

私事ですが先日結婚式を挙げました。 実は私には少し前から「自分の結婚式は絶対に古代ギリシャ・ローマの要素を取り入れたい」という夢がありました。 もちろん現代日本の結婚式場や風習に沿うと叶わないところもありましたが、私としてはかなり理想的な結…

ディズニー映画『ヘラクレス』コメンタリ ~Star is born~

前回の記事はこちら eureka-merl.hatenablog.com なんやかんやで今回が最終回です。あれこれコメント付けてたら急に終わって自分でもびっくりしました。 ところで、前回タイタンたちが起こしたごたごたはヘラクレスによって片付いたのですが、本家ギガントマ…

ディズニー映画『ヘラクレス』コメンタリ ~Released Titans~

前回の記事はこちら eureka-merl.hatenablog.com 今回扱うのは、なんやかんやでハデスがヘラクレスの力を奪ってしまい、これからタイタンたちと共に好き勝手しようとする場面です。 その試みがうまくいったかは……「ディズニー映画なので」とだけ言っておきま…

ディズニー映画『ヘラクレス』コメンタリ ~His weakness → Dirty deal~

前回の記事はこちら eureka-merl.hatenablog.com メガラとの甘いひとときから未だ醒めきらないヘラクレスですが、物語はここから不穏な展開を見せます。 こちらは「家政婦は見た!」ならぬ「サテュロスは見た!」な状態のピロクテテス。

ディズニー映画『ヘラクレス』コメンタリ ~Dreamy day → I won't say I'm in love~

前回の記事はこちら。 eureka-merl.hatenablog.com 今回扱うのはヘラクレスとメガラのデート後の場面です。芝居を観た後に食事を楽しむという、現代ではよくあるデートコース。 ただし、古代の演劇は基本的にはお祭り期間中の出し物(つまり神様への捧げもの…

ディズニー映画『ヘラクレス』コメンタリ ~Hercules' mansion~

前回の記事はこちら eureka-merl.hatenablog.com 数々の功績を積み重ねたことで神の仲間入りができる日は近いと期待していたヘラクレスですが、父ゼウスからは思うような返事はもらえず、わだかまりを抱えたまま神殿を去ることになりました。 そして帰ってき…

ディズニー映画『ヘラクレス』コメンタリ ~Hades' Plan / Report to Zeus~

前回の記事はこちら(もはや一年以上前ですが……) eureka-merl.hatenablog.com テーバイのみならずギリシャ全土における知名度を確かなものにしていくヘラクレス。一方、それが気に食わないハデスさんは…… ヘラクレスの絵が付いた壺を割ってストレス発散を試…

【Ex Ponto】推しを語る #10

前回の記事はこちら eureka-merl.hatenablog.com 長きに渡る「推しを語る」シリーズも最終回になりました。 最後に取り上げるのは『黒海からの手紙(Epistulae ex Ponto)』です。 ※「手紙」を意味するepistulaeはときどき省略されます。 日本語訳は、第8回で…

【Ibis】推しを語る #9

前回の記事はこちら eureka-merl.hatenablog.com 「推しを語る」第9回は、邦訳未出版の誹謗詩『イービス』についてです。 めっちゃ面白いから早く日本語でも読めるようになってほしい(他力本願) この644行の詩が書かれたのは、『悲しみの歌』執筆途中の紀元…

【Tristia】推しを語る #8

前回の記事はこちら eureka-merl.hatenablog.com 「推しを語る」第8回です。ここから先は詩作第三期――ローマを追われ、トミスに滞在していた時期のお話です。オウィディウスはこの時期に三つの作品を残しました。 今日取り上げる作品はそのうちの一つ、『悲…

【Fasti】推しを語る #7

前回の記事はこちらからどうぞ eureka-merl.hatenablog.com 「推しを語る」第7回は『祭暦(Fasti)』についてです。 日本語訳は出版されていますが、なかなか普通の書店じゃ見つけられませんね…。 祭暦 (叢書アレクサンドリア図書館) 作者:オウィディウス メデ…

【Metamorphoses】推しを語る #6

前回の記事はこちら eureka-merl.hatenablog.com 「推しを語る」シリーズも折り返し後半戦になりました。 今回は彼の代表作であり、私の研究対象である『変身物語(Metamorphoses)』についてです。 オウィディウス研究といえば『変身物語』研究!みたいなとこ…

【Remedia Amoris】推しを語る #5

前回の記事はこちらからどうぞ。 eureka-merl.hatenablog.com 「推しを語る」シリーズ第5回は『恋の治療(Remedia Amoris)』について。 かつて藤井昇先生が『惚れた病の治療法』という題で日本語訳を出版なさっているのですが、前回書いたように既に古本でし…

【Ars Amatoria】推しを語る #4

前回の記事はこちらからどうぞ eureka-merl.hatenablog.com 「推しを語る」シリーズ、第4回は『恋の技法(Ars Amatoria)』についてです。 彼の作品の中では『変身物語』に並ぶくらい有名なものですよね。これなら読んだことあるって方も多いでしょう。 ラテン…

【Heroides】推しを語る #3

シリーズ「推しを語る」第3回です。 ↓前回の記事はこちらからどうぞ↓ eureka-merl.hatenablog.com 前回扱った『恋の歌』は、内容はさておき、恋愛エレゲイア詩の伝統(と言うほど年季の入ったジャンルではありませんが)に則った作品でした。 今回扱う『名高…

【Amores】推しを語る #2

うっかり始まってしまった「推しを語る」シリーズですが、前回はオウィディウスの作品に一切触れることなく終わってしまいました。 ↓こちらからどうぞ eureka-merl.hatenablog.com 今回からオウィディウスの各著作を見ていきます。まずはデビュー作『恋の歌(…

【... et Naso】推しを語る #1

皆様お久しぶりです。 そして何ヶ月も更新せず既存の連載記事も完結していないのに新しいシリーズを始めます。題して「推しを語る」。 私の「推し」、つまりオウィディウスという詩人について好き勝手語り散らすシリーズです(今回含め全10回の予定)。 という…

Sound Horizon ギリシャ語ラテン語&神話まとめ

幻想楽団 Sound Horizon 略してサンホラ。物語性のある楽曲を作るちょっと変わったアーティストです(曲を作っているのはRevo氏ひとりですが)。 主に西ヨーロッパ世界を物語の舞台に設定しており、歌詞にはフランス語、ドイツ語、スペイン語などさまざまな…

エレフセウス、別名「英雄詰め合わせセット」

Moira12周年……だと……!? というわけで今回は幻想楽団Sound Horizon略してサンホラの6th story CD「Moira」の話です。<○><○>メッ!! サンホラというグループはなかなか特殊な楽曲を作っており、ミュージカルのような「物語音楽」と言えます。 ひとつのアル…

ディズニー映画『ヘラクレス』コメンタリ ~Zero to Hero~

前回の記事はこちら eureka-merl.hatenablog.com というわけで!!怪物ヒュドラを倒して経験値を得たヘラクレスはテーバイ市民の皆様からめでたく「ヒーロー」と認定されました!! そしてここで神曲「Zero to Hero」が始まります!!! まず曲のタイトルが…

『もののけ姫』は日本の『イーリアス』

コロナ禍の最中、日本各地の映画館でジブリの四つの旧作―『風の谷のナウシカ』『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』『ゲド戦記』―が上映されることになったのはご存知の方も多いはず。 実は私、ジブリ映画をきちんと観た経験があまりなかったんです。それこそ…

ホラティウス『カルミナ』韻律まとめ

文化センターでマルティアリスを扱って以来、ひとつの作品でいろんな韻律を使う詩人にどうしてもときめいてしまうようになったんです。マルティアリスだけじゃなくて、このホラティウスとか、カトゥッルスとか…。 そして先日、後輩に「ホラティウスを読みた…

#エアアポロン誕生祭 に参加してみた

去る4月29日は冬至から数えて5回目の上弦の月の日…… つまり何の日だったかというと、我らが遠矢射る神アポロン様の誕生日でしたー!!! そしてギリシャ神話研究家の藤村シシン先生が、Twitterでこんな呼びかけをなさっていました。 #エアアポロン誕生祭2020…