やっぱり始まりはゼウスの浮気です。
アルゴスの王女ダナエーに一目惚れしたゼウスは、黄金の雨になってダナエ―と交わります。ええ、雨です。何を言っているかわからないかもしれませんが、ギリシアの神々に不可能はないのです。
(ティツィアーノ・ヴェチェッリオ『ダナエ―』1545-1546)
人間の想像力ではこれが限界なんです察してさしあげましょう。
そもそもなぜ雨なのか。
実は、ダナエーのお父さんアクリシオスは息子が欲しかったのです。ダナエーもまぁかわいかったのですけれど、国のためには世継ぎが必要。そこで神様に訊いてみました。
アクリシオス「わしに息子は産まれますか?」
神「無理。あ、でも孫は男の子だよ。お前はその子に殺されるけど」
そりゃあびっくりしますよね。というわけで殺されちゃたまらんと娘を出入りのできない部屋に閉じ込めます。しかしゼウスに不可能はないのです。壁の隙間から雨になって侵入し、ちゃっかりダナエーを身ごもらせます。
こうして産まれたのが英雄ペルセウス。
アクリシオスは怖くなって、次は親子ともども海に流してしまいます。
しかし運よくある漁師に拾われ、ペルセウスは元気に育ちます。
(ジョン・ウィリアム・ウォーターハウス『ダナエ』1892)
さて、ペルセウスが青年になった頃、母ダナエーに言い寄る男ポリュデクテスがいました。彼にとってペルセウスは邪魔でしかありません。
そこで、親しい仲間たちを集めて宴を開き、ペルセウスも招きました。周りの者たちがポリュデクテスに贈り物を差し出す中、ペルセウスは何も持たずに来ていました。仲間たちもグルだったのです。
ポ「おやおやペルセウスくん、きみは何もくれないのかい?」
ペ「え、はい…申し訳ございません…」
ポ「贈り物を持って来るって約束だったのになぁ~~」
ペ「は?」
ポ「そうだなぁ~~、じゃあメドゥーサの首を持ってきてくれたら許すよ~。でもできないよねぇ、あんな怪物を倒すなんてねぇ!ww」
ペ「お、お望みなら、やってみせましょう!!」
まぁこんなところでしょう。若者ならではの勢いで飛び出したペルセウス。しかしあんな怪物をどうやって倒せばいいのか、彼には想像もつきません。
途方に暮れるペルセウスのもとにやってきたのは、ヘルメスとアテナでした…
つ づ く !