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Εὕρηκα!

西洋古典学って、ご存知ですか?

アウグストゥスと肝臓病

思いつきシリーズ

 

eureka-merl.hatenablog.com

 

1年ほど前に投稿したこちらの記事に質問をいただきました!

せっかくなので改めてもとのテキストを読んでいこうと思います。

 

アウグストゥスの肝臓病がレタスで治った」と書きましたが、これについては大プリニウスの『博物誌』第19巻の第128節に記述があります。

 

divus certe Augustus lactuca conservatus in aegritudine fertur prudentia Musae medici,

たしかに神のごときアウグストゥスは病気の時、医師ムサの賢明さにより、レタスで救われたと言われる。

cum prioris C. Aemili religio nimia eam abnegaret,

前の医師であるガイウス・アエミリウスの過度の不安はレタスを拒んでいたのだが。

 

 

また、アウグストゥスの肝臓病の治療については第29巻6節にも書かれています。

  

auditor eius Themison fuit, seque inter initia adscripisit illi,mox procedente vita sua et placita mutavit,

彼(アスクレピアデス)の弟子にテミソンがいた。はじめは師に従っていたが、晩年になると意見を変えた。

 

sed et illa Antonius Musa eiusdem auditor auctoritate divi Augusti quem contraria medicina gravi periculo exemerat.

同じく彼の弟子であるアントニウス・ムサも、正反対の治療法で危うい重病から脱した神々しきアウグストゥスの支持を得た。

 

同様の内容が、スエトニウスの『ローマ皇帝伝』第2巻81節にもあります。

 

graves et periculosas valitudines per omnem vitam aliquot expertus est;

生涯を通じて何度か、(アウグストゥスは)危機的な重い病にかかった。

praecipue Cantabria domita, cum etiam destillationibus iecinore vitiato ad desperationem redactus contrariam et ancipitem rationem medendi necessario subiit;

特にカンタブリアが制圧された時、肝臓が膿に侵されて絶望的な状態に陥った彼は、やむをえず正反対の不確実な治療を受けた。

quia calida fomenta non proderant, frigidis curari coactus auctore Antonio Musa.

というのも、温罨法が効かず、主治医アントニウス・ムサによって冷罨法で治すことが強いられたのだ。

 

(※罨法・・・体の一部に温熱または寒冷刺激を与えて行う治療法)

というわけで、体を冷やして治療するのに、レタスは一役買っていたそうですね。

思い切った治療法だったようですが、治ったのであれば何より…。

 

ついでに、アウグストゥスの食生活を一部紹介。

ローマ皇帝伝』の第2巻77節です。

 

et maxime delectus est Raetico neque temere interdiu bibit.

(アウグストゥスは)特にラエティア酒を好んだが、日中はほとんど飲まなかった。

pro potione sumebat perfusum aqua frigida panem aut cucumeris vel lactuculae thyrsum aut recens aridumve pomum suci vinosioris.

酒の代わりに冷水を浸したパンや、きゅうりを少し、あるいは若いレタスの枝(葉?)、果汁のすっぱい林檎を新しくても古くても食べていた。

 

お酒は得意じゃなかったようです。ワインは3杯までとか。西洋人だから意外と思ったけど、病弱だったから仕方ないのかなぁ。(私、お酒は一滴も受け付けない体質なのでそのへんよくわかりません)

あと体を冷やすものを好んでいたようですね。冷やしすぎもどうかと思いますが。

 

 

というわけで、レタスとアウグストゥスの肝臓病についての補足、でした!