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Εὕρηκα!

西洋古典学って、ご存知ですか?

背中にチーズ

思いつきシリーズ

Twitterに書くには長いけど、ブログ記事にするには短いししょうもないかしら…、程度の話。あまり期待せずにどうぞ(笑)

 

***

 

きのう、学生用研究室に入るなり後輩が「先輩聞いてくださいよ~」と言ってきました。

何事かと思ったら、希和辞書でとんでもない単語を見つけた、と。

 

その単語というのが、形容詞τυρόνωτος

そこに書いていた意味

背中にチーズをつけた、チーズを塗った

 

ちょい待ち。

どういう状況や。嫌がらせか。

 

どうしてもこの単語が使われるような事態がいかなるものか気になって、でっかい希英辞書も出してきました。

すると、アリストパネスの喜劇『アカルナイの人々』にこの単語が登場しているとのことで、その使われ方を見ると…

 

 

ΔΙΚΑΙΟΠΟΛΙΣ

κἀμοὶ πλακοῦντος τυρόνωτον δὸς κύκλον.

ディカイオポリス

じゃあ俺にはチーズを塗った円い菓子をくれ。

 

…とりあえずここでは嫌がらせ行為ではないようなのでとても安心しました。

 

ちなみにこの単語は τυρό(ς) と νωτον とに二分割することができ、それぞれ「チーズ」と「背中」を意味します。

「背中」と言っても、「山の背」や「背中のように広々とした場所」も意味するそうなので、まぁ上のようなお菓子の表面も「背中」と認められるのでしょう。

 

そして希英辞書を改めて見ると、τυρόνωτονの意味は ”cheese-backed, i.e. spread with cheese”と書かれていました。

上記箇所の直前に登場するΓοργόνωτοςのパロディとのことです。なのでここにしか登場しない形容詞なのかな…?

そうであってほしい。誰かが誰かの背中にチーズを塗ったくってべたべたかつ臭うような嫌がらせをするような状況は考えたくない

 

あ、Γοργόνωτοςはさっきと同じように Γοργό と νωτος に分かれます。

前半の意味は、女妖怪ゴルゴンですね。

Γοργόνωτος ἀσπίδος κύκλος「ゴルゴンを乗せた円形の盾」という使われ方をしています。アイギス(アテナ女神の武具)的なものかと…。

なのでこっちは真面目な形容詞(?)です。嫌がらせ疑惑も起こりません。

 

 

話は逸れましたが、かくしてチーズに関する怪しい形容詞の正体は判明したのでしたー。