この展覧会の存在を知ったのは、研究室のテーブルにフライヤーが置かれていたからです。
(表)
(裏)
最初は「巨人の城に挑む」とか「ティリンス城を掘る」とかが
日曜日の18:30からやってる某アニメのタイトルっぽいって言ってました←
大学の記念事業ということで巡回もしなさそうだし、会期も短いから貴重な機会だということで、終了1週間前に行きました。
本当は2週間前(センター試験の日)に行こうと思ってたんですけど、雪と寒さに負けましたw
名市博といえばアーケードの柱に設置された導入パネルが楽しいんです。
今回はこんな感じでした↓(左上、右上、左下、右下の順)
そして、土曜日のお昼だったからか、シュリーマンというテーマが魅力的だったからか、思ったよりたくさんお客さんがいてびっくりしました。小学生もちらほら!謎解き企画みたいなのをみんな楽しそうに取り組んでいました。良いことだ。
ポンペイの壁画展の時は特別展示室を区切って複数の部屋にしていたのですが、今回はひとつの部屋として使っていて、そこにもちょっとびっくり。
内容は、地中海世界の出土品の展示はあくまでオマケで、「シュリーマンとはどういう人物だったか」「どういうふうに研究を進めていったか」という紹介でした。
幼少期にトロイア戦争伝説を聞かされ、その都市の存在を信じ続け、研究に打ち込んだシュリーマン。著書『古代への情熱』で、そんな半生を自ら語ってくれていますが、実は著書の記述はだいたいが”盛り話”だったそうです。
父親はそんな話ができるほどの教養はなかったとか、初恋のひとと結婚の約束をしたって書いてるけど実際はただの幼馴染だったとか。夢がないなぁ。
とはいえ彼が立派な研究者であったことは紛れもない事実です。
ところで、考古学を専門とする友人と話しているといつも思うんですけど、考古学やってるひとってみんな絵上手いんですか?笑
シュリーマンのスケッチ等を見ていると、写真かな?パソコンで描いたのかな?と思うくらい緻密で正確なんですよね。
鉛筆やペンでの書き込みは英語だったりドイツ語だったり。ペンの書き込みに鉛筆で訂正線を引いたり、ペンで塗りつぶしたり。研究の痕跡がすぐそこに感じられるものばかりでした。鉛筆って残そうと思えば残るんだなぁ。
ちなみに、パネルにもあるような出土品のイラストはリトグラフという版画の技法で刷られていたことも知りました。印刷技術の発展が人文学の研究にも貢献したわけです。
もっとも、リトグラフは芸術の方でも大きな影響を与えたのですが。
また、シュリーマンだけでなく、周辺の時代のさまざまな分野の研究者にも触れられる展覧会でした。ナポレオンが命じた古代研究とか。
シュリーマンが日本にも来てたのは知りませんでした!どうやら中国と日本の旅行記もあるようですね。
この展覧会を通して、古くから連綿と受け継がれてきた研究の系譜の中に私たちは立っているのだと改めて気付きました。それもものすごく長い長い系譜に。
きちんと次の世代にも渡していけるように頑張らないとですね。
今回展示されていたものはほぼ全て天理参考館の所蔵品です。出てくるとしたら常設展なので、お近くに寄ることがあれば、訪ねてみてもいいかもしれません(´▽`)