前回の記事はこちら
eureka-merl.hatenablog.com
「助けて!ひどい事故があったの!」と人ごみを掻き分けやって来たのはメガラ。
彼女曰く、町外れの谷間で男の子たちが遊んでいたところ、巨大な岩が落ちてきてふたりが下敷きに――
ヒーローになるために解決すべき「面倒事」が回ってきたと、喜び勇んでヘラクレスは現場に向かいます。「なに喜んでんのよ」というメガラちゃんのマジレスも熱くスルー。
到着した現場ではたしかに岩の下で男児二人がタスケテー、ココカラダシテーと声をあげています。絶妙な棒読みで。
重いものを持ち上げるのはワンダーボーイことヘラクレスにとって十八番です。「怪物」と疎まれていたあの頃と変わらず、難なく岩を持ち上げて子どもたちを助けます。
まぁその助けた子どもらって
こいつらなんですけど
というわけでこれでハデス様の計画が終わるわけはなく、谷間の闇から現れたのはこれ
えー…ヒュドラです。
誰が何と言おうとヒュドラです。少なくともチャプタータイトルにはそう書いてる。
神話では「九の頭を持つ(※真ん中は不死身)水蛇」なのですが、まぁ、蛇とドラゴンは古代では区別そんなないから…(ヒュドラについてもそうとは言ってない)
ところでみんななんでこの状況で逃げないの?死にたいの?なんで古代の劇場の客席みたいな並びになってんの?
先に神話のヘラクレスがヒュドラをどう退治したかをアポロドーロスの『ギリシア神話』に従って確認しておくと、
・棍棒で頭を殴る→頭ひとつのところからもうひとつ頭が生えてくる
・殴る→甥のイオラオスが頭の付け根を焼いてまた生えてくるのを防ぐ
・不死身の頭の上には岩を落として潰す
といった具合です。ついでにこの時ヒュドラを援助するために蟹の怪物が来ましたがヘラクレスにあっさり踏みつぶされています。
で、映画のヘラクレスはとりあえず剣で応じるのですが、あっさり弾き飛ばされてこの状態に
牙に毒とかないのかしらとちょっと心配になりました。というのも、神話のヘラクレスはヒュドラを退治した後、その毒で毒矢を作ったのです。でも、アポロドーロスでは「矢を胆汁に浸した」とあったので、牙には毒はないのかも?
しかし素手での格闘が上手くいく相手でもなく、ヘラクレスは丸呑みされてしまいます。
様子を見に来たテーバイの人々も、ピロクテテスも絶望しましたが、「丸呑み」だったのが功を奏しました。
身体の内側から一刀両断!
一転して歓喜した人々ですが、もちろんこれは「前半戦」。
切れば頭が増えるのがヒュドラという怪物です。
だからってここまで増えんでええやんって話ですが。
「切ったら増える」の法則を理解しつつ、ではどうすればいいのかも思いつかないヘラクレス。ついに追い詰められます。
増えすぎてて草。
絶体絶命の境地でヘラクレスが思いついたのは
崖を渾身の力でぶん殴ること。
すると何が起きるかというと、岩肌にヒビが入り
ヒュドラたちの上に大量の岩が降り注ぐのです。
で、ヒュドラは無事押し潰されたのですが、ヘラクレスもこの落石に巻き込まれて相討ちになったと人々は喜び半分悲しみ半分…(ハデスは大喜び)
もちろん生きてるんですけどね!!!
歓声に沸くテーバイの人々。ヘラクレスは「ヒーロー」として認められ、輿のように担がれてテーバイへ帰ったのでした。
この続きは、あの神曲です!!