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「推しを語る」シリーズ第5回は『恋の治療(Remedia Amoris)』について。
かつて藤井昇先生が『惚れた病の治療法』という題で日本語訳を出版なさっているのですが、前回書いたように既に古本でしか手に入らないと思われます。
ところでこの藤井訳、なぜか「藤井昇・訳」ではなく「藤井昇・著」と表紙に書かれています。たしかに藤井先生の思い切った訳も多分に含まれていて、もはやオリジナルな言葉選びではないかと思われる箇所もあるのですが、そういう理由なのでしょうか……。私はLaresを「俺ン家の仏壇」って訳すセンスめちゃくちゃ好きです。
私がこの作品のタイトルを『恋の治療』と呼ぶのは、これが直訳だからというのがひとつ。より大きな理由としては、『恋の技法(Ars Amatoria)』とタイトルで韻を踏みたいからです、「技法」と「治療」で(笑)
そして韻を踏みたい理由は、『恋の治療』が『恋の技法』の続編的な作品だからです。
この作品は、作品タイトルを見たクピードーがオウィディウスに対して「喧嘩売っとんか?(bella mihi, video, bella parantur, Rem. 2)」と言うところから始まります。
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