※タイトルはあれですが、内容は某少年探偵や少女探偵団とは関係ありませんw
ギリシア神話には決まったひとつの筋書きしかない、なんて思っているひとはいませんか?
実は、神話は時代や場所によって形を変えていっているのです。
特に、ヘレニズム時代といわれる紀元前4世紀末から紀元前1世紀末に、ドラマティックな筋書きで神話を描くことが流行り、その後オウィディウスの『変身物語』でその筋書きが使用されたことにより、元の神話よりアレンジの加わったものが、”ギリシア神話”として定着しました。
- 作者: ブルフィンチ,Thomas Bulfinch,野上弥生子
- 出版社/メーカー: 岩波書店
- 発売日: 1978/08/16
- メディア: 文庫
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19世紀に生きたアメリカの作家トマス・ブルフィンチの書いたこの本は、かなりオウィディウスの書いた伝承に依存しています。現代における神話になじみのあるひとなら「あー、これこれ」となるはず。
しかし、神話を研究するとなればもともとのストーリーを知る必要があります。
叙事詩や悲劇に描かれた神話のもとのもと、それを知ることのできる本が、紀元1,2世紀頃に編集されたのです。
アポロドーロスによる『ギリシア神話(原題:Βιβλιοθήκη、ビブリオテーケー)』。
ギリシア神話という訳題が広まっていますが、英語では単に"Library"です。
集まっているのは紀元前5世紀頃の伝承です。3巻構成で、摘要(έπιτομή、エピトメー)という全体の中でも重要な部分の抜き書きがくっついています。摘要では主にホメロスの2作品に関する伝承が紹介されています。
この本の優秀なところ、それはひとつの神話の全ての説を記載していること!
ただ、全ての説を淡々と語るだけなので、とてもつまらない!!w
例えば私がこの間書いたペルセウスの神話、文庫本のページで3ページ半ほどしかありません!全ての異説を含めてこれです。私の頑張りは何だったのか。
いま流布しているストーリーは本当に昔からあったのか?どれが正しい説なのか、はたまた全て同じくらい確かな説なのか?そんなことがわかる1冊です。
作品というよりは優秀な史料ですね。
私の大学の神話学の講義でも、ブルフィンチとアポロドーロスが教科書になっています(*^ ^*)神話を勉強するなら必携です!!