Εὕρηκα!

西洋古典学って、ご存知ですか?

Εὕρηκα!とは?

このブログは、西洋古典学という学問のことを少しでも知ってもらいたい古典学生が、とにかく楽しく!好き勝手に!!いろんなものを題材にして古典学を語るところです。

古典文学そのものの真面目な話だけでなく、展覧会や演劇のレポ、サブカル絡みのふざけた?話なんかもしていきます(むしろふざけてばかり)。

古代ヨーロッパ世界と現代日本世界のつながりを「見つける(Εὕρηκα/ヘウレーカ)」ための手助けをしたい。そして古典学がもっと日本でも広まってほしい。そんな願いと愛を込めて。

 

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writer: める(ギリシャ語のあだ名はΜυρρίνη/ミュッリネー)

Twitterは@myth_merl

旧帝大西洋古典学研究室の大学院生。文化センターでラテン語を教えてもいます。

ミンネ(@eureka-merl)でギリシャ神話モチーフのアクセサリーを売っていたりもします。

 

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カテゴリー説明

【古典のひと・もの・はなし】

古典学で研究対象となる詩人や作品、神話の紹介。

 

【古典と芸術】

古典作品をベースにした絵画や演劇、映画の話をします。展覧会・観劇レポはこちら。

 

【古典とサブカル

漫画、アニメ、ゲームといった日本が誇るサブカルチャー作品の中に隠れている古典学要素を掘り出して語ります。

 

ヘラクレスコメンタリ】

1997年に公開されたディズニー映画『ヘラクレス』にツッコミを入れるコーナー。

 

【アニソン古典語訳】

日本のアニソンをラテン語や古典ギリシャ語に訳して歌ってやろうぜのコーナー。メロディ譜付きです。もちろんフルサイズです。

 

【ながいつぶやき】

言い換えると「その他」。

【Fasti】推しを語る #7

前回の記事はこちらからどうぞ 

eureka-merl.hatenablog.com

 

「推しを語る」第7回は『祭暦(Fasti)』についてです。

 日本語訳は出版されていますが、なかなか普通の書店じゃ見つけられませんね…。

 

『祭暦(Fasti)』はローマの縁起物語集です。一巻につき一ヶ月分の祭儀や暦に関するエピソードがカレンダー順に入っており、全六巻あります。(おや?)

『変身物語』とほぼ同じ時期(詩作第二期)に書かれた作品であり、形式も内容もかの叙事詩と似通った、あるいは対照的な特徴が見られます。

なので今回は(プルタルコスの『対比列伝』ではありませんが)『変身物語』との比較を交えながら『祭暦』について語っていきます。

 

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【Metamorphoses】推しを語る #6

前回の記事はこちら 

eureka-merl.hatenablog.com

 

「推しを語る」シリーズも折り返し後半戦になりました。

今回は彼の代表作であり、私の研究対象である『変身物語(Metamorphoses)』についてです。

オウィディウス研究といえば『変身物語』研究!みたいなところは相変わらずありますよね。

日本語での全訳もこれまでに三回出版されています。

① 田中秀央・前田敬作訳、『転身物語』、人文書院、1966。

② 中村善也訳、『変身物語』(上・下)、岩波文庫、1981/84。 

オウィディウス 変身物語〈上〉 (岩波文庫)

オウィディウス 変身物語〈上〉 (岩波文庫)

 

③ 高橋宏幸訳、『変身物語』(1・2)、京都大学学術出版会、2019/20。 

変身物語 (1) (西洋古典叢書)

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  • 発売日: 2019/05/31
  • メディア: 単行本
 

 

オウィディウスの全作品、いやラテン文学の中でも研究が最も盛んな作品のひとつなので言うべきことはいろいろありますが、今回は二点に絞ります。

前半でお話するのはこの作品がいかに叙事詩らしくないかということ。

この作品は『イリアス』や『アエネーイス』と同じ「叙事詩」に分類されます。たしかに形式は叙事詩のそれですし、内容や表現技法も叙事詩の伝統に基づくものがちょいちょい出てくるのですが、それらを以てしてもやっぱり叙事詩らしくない作品です。今回は「らしくない」ところを三点挙げます。

後半はこの作品が「ギリシャ神話」を形成する上で与えた影響がどれだけ大きかったか。

オウィディウスは基本的に何かを参考にして各神話を語っていますが、ものによっては元の筋書きに大幅なアレンジが加わったりしています。しかしそのアレンジされたバージョンの方が後の時代に有名になることもしばしば。「古代の壁サー」とも言われるその影響力の大きさを具体例を見ながらお話します。

 

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