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西洋古典学って、ご存知ですか?

古典と芸術

要塞を徘徊するDオタ古典学者のはなし

皆さんは東京ディズニーシーのアトラクション「フォートレス・エクスプロレーション」をご存じでしょうか。エントランスを抜けてお土産店を通り過ぎた先に広がる地中海の景色、中央にそびえるプロメテウス火山のふもとに構えられた要塞のことを。 この要塞こ…

『もののけ姫』は日本の『イーリアス』

コロナ禍の最中、日本各地の映画館でジブリの四つの旧作―『風の谷のナウシカ』『もののけ姫』『千と千尋の神隠し』『ゲド戦記』―が上映されることになったのはご存知の方も多いはず。 実は私、ジブリ映画をきちんと観た経験があまりなかったんです。それこそ…

ディズニー映画『ファンタジア』第五章コメンタリ【後編】

前編はこちら。 eureka-merl.hatenablog.com 後編では第三楽章「田舎の人々の楽しい集い」、第四楽章「雷雨、嵐」、第五楽章「牧歌 嵐の後の喜ばしい感謝の気持ち」の解説です。 前編に登場した神話生物たちに加え、神さまがたくさん登場します。

ディズニー映画『ファンタジア』第五章コメンタリ【前編】

ディズニーがギリシャ神話モチーフを使った映像作品は『ヘラクレス』だけじゃないんやでって話。 『ヘラクレス』のコメンタリはこちらからどうぞ。eureka-merl.hatenablog.com 今回取り上げる『ファンタジア』は、ディズニーが1940年に製作した作品です。『…

「ソアリン:ファンタスティック・フライト」で見つけた古代世界

ご存知かもしれませんが私ディズニーが好きでして(オタクを自称するのは怖いからやめときます。笑)、先日もディズニーシーに行ってきたんです。 そして去年の7月に出来た新アトラクション「ソアリン:ファンタスティック・フライト」にやっと!初めて!乗…

バッコスの信女たち@あいちトリエンナーレ

『縛られたプロメテウス』と同様、ギリシャ悲劇をベースにしていて、今年のあいちトリエンナーレを締めくくる日程で上演されたのが『バッカイ』です。 演出は劇団Qの主宰である市原佐都子氏により、正確なタイトルは『バッコスの信女たちーホルスタインの雌…

縛られたプロメテウス@あいちトリエンナーレ

10/14(月)に閉幕したあいちトリエンナーレで発表されたパフォーミングアーツ『縛られたプロメテウス』の鑑賞レポートです。 私があの部屋で見たものを、私の記憶に残っているまま、記録しています。なので、実際の内容とは多少のズレが生じていると思います…

【前編】ギュスターヴ・モロー展@あべのハルカス美術館

大阪は阿倍野の地にそびえるあべのハルカスの16階、あべのハルカス美術館にて開催されている「ギュスターヴ・モロー展 サロメと宿命の女たち」に行ってきました~! 宿命の女、すなわちfemme fataleというテーマはいつだかのミュシャ展でも用いられていまし…

プラド美術館展@国立西洋美術館

国立西洋美術館での展示期間は終了して、今は兵庫県立美術館で開催されている「プラド美術館展―ベラスケスと絵画の栄光―」 開館時間やチケットの料金など、詳しいことはこちらから美術館の特設ページをご覧ください。 絵画は7章構成になっており、第3章が「…

『聖なる鹿殺し』とギリシア悲劇

先日、映画『聖なる鹿殺し』を観てきました。 原題はThe Killing of Sacred Dearで、日本語題はそのまま訳したものになっています。 このサイコホラー映画の監督はギリシア生まれのヨルゴス・ランティモス氏です。日本で公開された彼の作品にはほかに『籠の…

『アンチゴーヌ』観てきました

2/17(土)、穂の国とよはし芸術劇場PLATにて『アンチゴーヌ』13時の回を観てきました! 原作者は20世紀フランスの劇作家ジャン・アヌイ。 それなりに古典の知識を持つ方ならタイトルからお察しのとおり、この劇は古代ギリシアの悲劇作家ソポクレスによる『ア…

怖い絵展@上野の森美術館

東京に来る前には神戸でやっていましたね。 「どうして。」というシンプルなキャッチコピーと処刑直前の若い娘の絵は、とってもわかりやすく怖い。とはいえ「怖い」と感じるかどうかは人それぞれで、この展覧会にもさまざまな「怖い」が揃っていました。 中…

大エルミタージュ美術館展@愛知県美術館

に、行ってきました。 金曜日は全作品写真撮影可(もちろんフラッシュは使っちゃだめ!)ということでパシャパシャ撮ってきました。 展覧会は9/18(月・祝)まで続きますが、ひとまず撮ったものをお裾分け。 ※古典学に関係するものだけです。 ※本当に絵を載せ…

『フェードル』観てきました(後編)

eureka-merl.hatenablog.com ↑これの続きです。 後編は作品内容ではなく、もうちょっとメタい(?)話をしていきます。 つまり以下の紫部分。 ◇『フェードル』とは ・恋するイポリット ・アリシーは何者か ◇役者の年齢(青山真治演出ver.との比較) ・パイドラ…

『フェードル』観てきました(前編)

5/7(日)、刈谷市総合文化センターにて観てきました… ジャン・ラシーヌ原作、栗山民也演出、大竹しのぶ主演の『フェードル』!! 実に2週間以上経過していますが、観劇レポとして何を書くべきか迷っていたらこんなことに…(・・;)ゴメンナサイ 観劇を趣味とする私です…

古代ギリシャ展@東京国立博物館

台風改め温帯低気圧が迫る中、行ってきました。 実際、館から出た直後は豪雨でした。 特別展「古代ギリシャ ―時空を超えた旅―」 実は会場の東京国立博物館(以下、東博)には初めて行きました~。 相変わらず写真撮るの下手くそで申し訳ないです;; コラー…

ポンペイの壁画展@名古屋市博物館

名古屋市博物館といえば、正面入り口までのアーケードに企画展のパネルがずらり並ぶのです。今回はこんな(↑)感じ。 がっつり尻に敷かれるモードのヘラクレスさん。あなたデイアネイラちゃんの存在はなかったことにしているんです??? というわけで!! つ…

「黄金の雨に変身する」とは??

最近研究室でよく話題になる神話があります。 以前ここでも取り上げた、ペルセウスの母ダナエにまつわる神話です。 ダナエといえば「黄金の雨に身を変えたゼウスによって身ごもり、ペルセウスを産んだ」ことになっていますが、 そもそも黄金の雨になるってど…

絵画で辿る『変身物語』 第1巻~第2巻移行部

かなり間が空いてしまいましたが(ごめんなさい…) 前回は怪物アルゴスが死に、ヘラ様の怒りが爆発したところで終了しました。 もうすぐ1巻が終わりますね。 はたしてイオはどのような運命を辿り、物語はどっちへ進んでいくのか!? 今回は2巻にも入ってい…

絵画で辿る『変身物語』 第1巻(後編)

宇宙が形作られ、人間が誕生し、アポロンが怪物ピュトンを退治したところで終わった1巻の前半。 ピュトンを退治した時のアポロンは、特に自分の樹というものを持っていませんでした。ではいつから「アポロンの樹=月桂樹」になったのでしょう? コルネリス…

黄金伝説展@西美

現在国立西洋美術館にて開催されている企画展「黄金伝説展 古代地中海の秘宝」に行ってきました~!! 古来より人類を魅了し続けてきた黄金。ギリシア神話の中にも黄金と関連するものがいくつかあります。黄金の林檎、黄金の雨、金毛羊皮、黄金を求めた王…。…

絵画で辿る『変身物語』 第1巻(前編)

読んだことがある人ならわかるでしょう、オウィディウスの書いた『変身物語』の、描写の細かさ、美しさ! 近代ヨーロッパの芸術家たちもその絵画的描写に着想を得て、たくさんの神話画を描きました。 今回から 絵画で辿る『変身物語』 ということで、『変身…

プラネタリウム@大阪市立科学館 行ってみた

いま大阪市立科学館でやってる期間限定プラネタリウム「ギリシア神話の星たち」に行ってきました! (↑チケットと、今読んでる本!) 遠足と思しき小学生たちに紛れて 「うへへへ…きみたちも神話の沼に沈めばいいよ…げへへへ…」 という邪心を抱えながら入場…

『パリスの審判』×4、鑑賞

皆さん、こちらの絵はご存知でしょうか? ピーテル・パウル・ルーベンスが1636年に描いた『パリスの審判』です。 ◇パリスの審判とは 「一番美しい女神へ」と書かれた黄金の林檎。この1個の林檎をめぐってヘラ、アテナ、アプロディーテの3柱の女神が争いま…