Εὕρηκα!

西洋古典学って、ご存知ですか?

2015-01-01から1年間の記事一覧

絵画で辿る『変身物語』 第1巻(後編)

宇宙が形作られ、人間が誕生し、アポロンが怪物ピュトンを退治したところで終わった1巻の前半。 ピュトンを退治した時のアポロンは、特に自分の樹というものを持っていませんでした。ではいつから「アポロンの樹=月桂樹」になったのでしょう? コルネリス…

黄金伝説展@西美

現在国立西洋美術館にて開催されている企画展「黄金伝説展 古代地中海の秘宝」に行ってきました~!! 古来より人類を魅了し続けてきた黄金。ギリシア神話の中にも黄金と関連するものがいくつかあります。黄金の林檎、黄金の雨、金毛羊皮、黄金を求めた王…。…

絵画で辿る『変身物語』 第1巻(前編)

読んだことがある人ならわかるでしょう、オウィディウスの書いた『変身物語』の、描写の細かさ、美しさ! 近代ヨーロッパの芸術家たちもその絵画的描写に着想を得て、たくさんの神話画を描きました。 今回から 絵画で辿る『変身物語』 ということで、『変身…

ローマのお菓子作ってみた

「甘いもん食べたい」 毎日ちゃんと甘いおやつを食べていても夜ごはんの後になるとこの欲望が出てくるわたし。別にダイエットなんてしていないから遠慮しません。 というわけで、先日研究室から発掘されたローマの富豪アピキウスのレシピ本を使って何か作っ…

プラネタリウム@大阪市立科学館 行ってみた

いま大阪市立科学館でやってる期間限定プラネタリウム「ギリシア神話の星たち」に行ってきました! (↑チケットと、今読んでる本!) 遠足と思しき小学生たちに紛れて 「うへへへ…きみたちも神話の沼に沈めばいいよ…げへへへ…」 という邪心を抱えながら入場…

悲劇を破壊した悲劇詩人

ギリシア文学でホメロスと並んで学者たちをざわざわさせているものといえば、ギリシア悲劇でしょう。 1つの悲劇につき約1500行から2000行。作品の長さは叙事詩に比べれば圧倒的に短いものですが、質は負けず劣らず! いわゆるギリシア古典時代(紀元前5世紀…

古代のレタス事情調べてみた

いま読んでる本が気になることを言っていたんですよ。 「レタスはギリシア神話において性的不能の象徴」 これはギリシア神話に登場する絶世の美男子アドニスの話に由来します。 アドニスの最期は”狩ろうとした猪にやられて死ぬ”というものです。もともとは”…

悲劇か喜劇か、悪女か良妻か。

ヘレネといえば、トロイア戦争勃発のきっかけとなった絶世の美女。 以前紹介したエウリピデスの『トロイアの女たち』では、自らパリスにほいほいついていった淫婦・悪女として描かれています。 これがヘレネの一般的なイメージなんですよね。でも違うヘレネ…

Moiraについて本気出して考えてみた①

※Sound Horizonの6番目のアルバム「Moira」に関するお話です。サンホラを知らない方はなんのこっちゃとお思いになるかと思われますがご容赦ください。やりたかっただけです← さて、ギリシア語で運命と題されたこのアルバム、ギリシアを舞台としており、当然…

神様は思ってるよりこわい

エウリピデス『トロイアの女たち』について、続きです。 人間たちが下界でわっちゃわっちゃする前、この劇の冒頭では、アテナとポセイドンとがお話していました。 その様子を関西訛りで簡略化してお届けします。

パリスの審判なんてなかった!?

今回紹介するのは、エウリピデスが書いた悲劇『トロイアの女たち(原題:Τρῳάδες、トローイアデス)』です。 舞台はトロイア戦争終結から数日経ったトロイア。妃のヘカベを中心に話が進んでいきます。 上演されたのは紀元前415年で、アテナイでは街の守り神とも言…

真実はいつもひとつ!じゃない!!

※タイトルはあれですが、内容は某少年探偵や少女探偵団とは関係ありませんw ギリシア神話には決まったひとつの筋書きしかない、なんて思っているひとはいませんか? 実は、神話は時代や場所によって形を変えていっているのです。 特に、ヘレニズム時代とい…

ペルセウス、怪物退治のその後

メドゥーサを退治し、ケートスを退治し、意地悪い男たちをさくさくっと石にしたペルセウス。母ダナエと妻アンドロメダを連れ、本来の故郷であるアルゴスへと帰ります。 その前に怪物退治に使った武器や防具をヘルメスに返しました。 そしてメドゥーサの首は…

Let's 怪物退治! ~ケートス編~

※メドゥーサ編の続きです ペルセウスがメドゥーサを討伐してエチオピア上空を飛んでいた頃、その下の海では王女が岩に鎖で縛りつけられていました。 というのも、この王女アンドロメダのお母さん(つまり王妃)カッシオペイアが 「うちの子は超かわいくって…

叙事詩を読もう!~六脚律とは~

六脚律(ヘクサメトロス、Hexameter)とは、古代ギリシアより伝わる叙事詩ならではの韻律です。 ー U|- U|- U|- U|- u u|ー X 六脚律の構成を図にするとこうですね。 Uは長音節でも短音節×2でもいいところ、Xは長音節または短音節×1です。…

叙事詩を読もう!~ラテン語音節の長短について~

ギリシア・ローマ文学最大にして最高の作品と名高い『イーリアス』、ローマ建国伝説を描いた『アエネーイス』、250もの神話を連ねた『変身物語』―― これらは全て、叙事詩というジャンルに含まれ、文学ジャンルで最高のものとされています。ルネサンス期なら…

Let's 怪物退治! ~メドゥーサ編②~

勢いでメドゥーサ討伐宣言をしてしまったペルセウス。 途方に暮れる彼を助けてくれたのはヘルメスとアテナでした。 ヘルメスから翼の付いたサンダル、アテナから盾、ついでにハデスのおじさんから姿を隠す兜を借りて、武装は完了しました。 次に問題なのはメ…

Let's 怪物退治! ~メドゥーサ編①~

やっぱり始まりはゼウスの浮気です。 アルゴスの王女ダナエーに一目惚れしたゼウスは、黄金の雨になってダナエ―と交わります。ええ、雨です。何を言っているかわからないかもしれませんが、ギリシアの神々に不可能はないのです。 (ティツィアーノ・ヴェチェ…

Let's 怪物退治! ~アルゴス編~

事の始めはいつものあれ。ゼウスがふらふら~っと、ヘラ神殿に仕えていた乙女イオに浮気したのでした。 ヘラ「あんたまた浮気したでしょ!?」 ゼウス「そんなことない!絶対ない!!」 ヘ「じゃあその雌牛は何!?」 ゼ「えっ、ほら、きれいでしょ(しろめ)…

『パリスの審判』×4、鑑賞

皆さん、こちらの絵はご存知でしょうか? ピーテル・パウル・ルーベンスが1636年に描いた『パリスの審判』です。 ◇パリスの審判とは 「一番美しい女神へ」と書かれた黄金の林檎。この1個の林檎をめぐってヘラ、アテナ、アプロディーテの3柱の女神が争いま…

天才と問題児は紙一重?

プブリウス・オウィディウス・ナーソー。 初代ローマ皇帝アウグストゥスの治世下で活躍した詩人です。 カエサルが暗殺された翌年の春、スルモーというローマ郊外に生まれ、騎士階級のおうちで育ちました。 お父さんは、彼に官僚の道を進んでほしいと思い、お…